よく飛ぶ 紙飛行機への道

【第5回】レーサー スカイカブとその派生機の研究

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レーサー スカイカブとは?

初期のホワイトウイングス版のレーサー508スカイカブ( 空の子供という意味) は、バルサ板胴、1段上反角テーパー主翼、金属フック、普通型尾翼のとても基本的な競技用機で、作りやすく、調整もしやすく、安定して飛ばせる入門機であ る。ただし、「レーサー」の名の通り、上昇気流に乗れば視界没(行方不明になるまで飛ぶこと)となるような、競技用機として水準以上の滞空性能を持ってい る。ホワイトウイングスの競技用機としては、8番目に発売された、初期の機体でもある。最初期のセット販売品である「ホワイトウイングス バルサ6シリーズ」©1982に含まれるスカイカブはハサミを要する型紙だが、単品売り包装では同じ©1982ながらプレカット型紙となっている。

この入門機スカイカブが文字通り原点となって、二宮氏は多数の発展型、派生型の機体を開発されている。

レーサー スカイカブの発展型

まず、スカイカブを小型化した「ホワイトウイングスジュニア レーサースカイカブ95」が発売されている。付属の組み立て説明書の記載からアメリカで学校 教材用または競技会開催用として何十機かセットで売られていたようである(これはスカイカブシリーズにほぼ共通するようだ)。

スカイカブの金属フックをバルサフックに改め、より作り易くかつ金属の突起を無くして安全性を増したのがレーサー508A スカイカブⅡ(N-1062)である。更に主翼、尾翼を改設計し、糊代を大型化することで、接着剤が 完全に乾く前でもそこそこ飛ばすことが出来るようにしたのがレーサー550 スカイカブⅢ(N-1600)である。何しろ接着剤が乾燥するまで待つことは、はやく飛ばしてみたい子供たちに はとてもつらい事なのだ。

そして「接着剤の乾燥時間問題」を完全に解決したのが、シールタイプで組み立てが極めて短時間ですむスカイカブⅣ(N-2016)である。 問題解消はいいのだが接着剤と違い、部品の位置決めが一発勝負(着けたあとずらせない)なので、組み立てにはそれなりのコツも必要である。 このスカイカブⅣには、紙パーツをカラフルな印刷に変更し、勇ましい名前をつけたバージョンも二種類発売された。その後もスカイカブⅣは複数のカラーバリエーションが発売されている。

しばらくして、垂直尾翼を機体下面に移し、小旋回が可能で体育館などの室内競技向きとしたスカイカブTも発売された。
(2019年8月9日追記:また、特注品として様々な企業、団体のマークなどが印刷されたスカイカブ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、スカイフィッシュ等が制作され、14種のパッケージを確認できたが、その総数を把握するのは困難である。)

スカイカブの派生機

他にホワイトウイングス版には、バルサ胴のスカイカブ系列として、尾翼の形状のみを変更したものがある。下向き垂直尾翼で失速に強いスカイフィッシュ、スカ イフィッシュの金属フックをバルサ化したスカイフィッシュⅡ、双垂直尾翼で垂直上昇発進可能なスカイラビットである。尾翼の形状による飛行特性の違いを楽しむという意図があるようだ。

一方で、子供の科学版では、スカイカブⅡまたはⅢの主翼と水平尾翼を95%に縮小し、全紙製とした上で、胴体の形状を変えたバリエーション機、 またはスカイフィッシュ、スカイラビット、スカイカブⅣの95%縮小版全紙製機等が1999年2月から2008年9月 2013年5月の間に計15 18機種掲載された。もちろんこれらは単行本にも掲載されている。

下表が、スカイカブとその派生機の一覧である。なお、N-1647「スカイカブⅡ」を ベースにしたわりばし飛行機以外は、おもりによる重心位置の調整は不要である。 いずれも組み立てやすく、飛ばしやすい、そして美しい機体である。

表:レーサースカイカブとそのバリエーション機
Body材質(AP:全紙製 B:板バルサ CS:割りばし(棒胴))

レーサースカイカブとそのバリエーション機

(参考:日本紙飛行機協会ホームページ、誠文堂新光社「よく飛ぶ紙飛行機集」および雑誌「子供の科学」、AG社発売のホワイトウイングス)