よく飛ぶ 紙飛行機への道

【第3回】二宮式紙飛行機の機種を分類してみる

よく飛ぶ 紙飛行機への道 二宮式紙飛行機はその内容が多彩なため、何通りかの分類が考えられるが、ここでは私見として以下の分類を試みる。

デザインによる分類

二宮式紙飛行機を、機体のデザイン(外観)から分類すると、次のようになる。

  • ① 競技用機:  上昇・滞空性能を追求した高翼機。
    • 1)旋回上昇型: 主翼の形で概ね以下のように分かれる。
      ⅰ)1段上反角翼 (テーパー翼、楕円翼、前進翼)
      ⅱ)2段上反角翼
      ⅲ)翼端上反角翼
      ⅳ)MOSTウイング 1段上反角
      ⅴ)MOSTウイング 2段上反角
    • 2)垂直上昇型: 後退翼 + 双垂直尾翼が基本
  • ② 軽飛行機: セスナ型、ビジネスジェット型、(小型)飛行艇など小人数が乗る小型の飛行機を一般に軽飛行機と呼び、 この分類では下記の自由型機に含めるのが合理的ではあるのだが、二宮氏は軽飛行機を独自のジャンルとして、単行本にも特集されているので、本稿でもデザイン上の独立したグループとしたい。
  • ③ 自由型機: 飛行艇、複葉飛行艇、デルタ翼機、先尾翼機、串型機、高尾翼機、超音速ジェット機、旅客機型機、エアレーサー型など実機の有無にとらわれない、紙飛行機の手軽さを生かした、自由なデザインの機体。
  • ④ 変形機: マルチタンデム機、円形翼機、斜め翼機、左右非対称機、空飛ぶ自動車、宇宙基地等実機ではまず実現しないであろう、またはこんな形でも飛ぶのだという事実、そしてその奇抜な姿を眺めて楽しめる機体。
  • ⑤ プロフィール機: 実機を模した機体。性能を良くするため、主脚や吊り下げエンジンなどの突起物は極力省略されている。
  • ⑥ 簡易組み立て機: 簡易組み立てのために、外観デザインに特徴(制限)が生じたもの
    • 1)棒胴機(わりばし飛行機):ただし若干の変形機を含む。
    • 2)三角胴機:断面が三角形のパイプ状胴体
    • 3)切紙機:「5分間でできるやさしい飛行機」など、接着箇所を最小限に減らして、簡易化したもの
    • 4)切折り機:「1つの部品で作る紙飛行機(N-550A)」のように、切り抜いた一枚の型紙を折って完成させるもの。
    • 5)ホチキスペグ:吉田式に似た、ホチキスで完成させる切り折り機。接着剤の乾燥を待つ必要はない。ただし機体のデザインには制限がでてくる。2005年から発表されているグループ。

胴体の材質と製作工程による分類

二宮式紙飛行機は、複数枚のケント紙を貼り合わせて丈夫な機体を構成するのが基本的特徴である。だが、この方式は高性能と引き換えに、貼り合わせと接着剤の 乾燥に手間と時間がかかり、子供にはかなりの忍耐を強いる。

そこで子供の科学版では、初心者・年少者向けに以下の提案(言葉ではなく、機体の発表によって)がされている。 子供の科学版の機体は、雑誌の綴じ込みという性質上、原則として全紙製である(わりばし飛行機、バルサ胴を指定している例外もある が)。
前項1)との繰り返し部分もあるが、以下に再分類して述べてみる。

  • ① 通常の全紙製機
  • ② 棒胴機(わ りばし飛行機): 木の棒を胴体とすることで、紙より丈夫で、狂いが無く、製作が簡単な機体となる。主翼、尾翼、おもりを不要なハガキで作れば、リサイ クル工作となる。不要なわりばしも入手しやすい材料なので、調達には問題はない。大変手軽なタイプである。実際、最初期の第1集の冒頭は、ハガキで作るわ りばし機5機種で占められている。
  • ③ 三角胴機: 断面が三角形のパイプ状胴体で、胴体の貼り合わせ回数を1~2回程度に省略、かつ 軽量の胴体とする。三角胴は曲げる方向の力にはよく抵抗するが、らせん状のねじれは生じやすい。子供の科学はB5縦版の雑誌なので、基本的にそれより長さ のある機体は掲載できないのだが、この三角胴を利用することで、通常の2倍の長さのある大型機も実現している。
  • ④ 切り紙機:「5分間でできるやさしい飛行機」など、接着箇所を最小限に減らして、簡易化したもの
  • ⑤ 切折り機: 「1つの部品で作る紙飛行機(N-550A)」のように、切り抜いた一枚の型紙を折って完成させるもの。
  • ⑥ ホチキスペグ: 吉田式に似た、ホチキスで完成させる切り折り機。接着剤の乾燥を待つ必要はない。ただし機体のデザインは工夫の余地が少なくなる。

ホワイトウイングスにおける胴体の材質と製作工程

ホワイトウイングス版では、子供の科学版と同様の全紙製機もあるが、全紙製胴をかたどった「カット済みのバルサ板胴」を用いることで、製作を容易にしてお り、全紙製機に対して、バルサ胴機を「入門機」と位置づけていた。

初期の製品以外は紙パーツも打ち抜き式で、はさみが不要となっている。さらに翼を差し込 むだけの、オールスチレンのTOBUTOBUプレーンも開発されている。また、ホワイトウイングス版では三角胴を、胴体全長が通常の2倍ほどある大型機 (Triliniar)を実現するために使用している。

ホワイトウイングスには「発泡スチレン機型紙集 20機種セット」もあるが、これは製作の容易さより「防水性」に注目したもので、セットにはスチレンではない、複写用の型紙が含まれているのみである。
別途スチレンペーパーを購入し、 型紙を用いて切りぬき、専用接着剤による紙とは違った手順の独特の組み立てが必要で、全紙製機より組み立てが容易とは言えない、多分に実験的な機体群である。

なお、ホワイトウイングスが、はさみがいらない打ち抜き済みの型紙を採用した理由は、年少者向けだけではない。アメリカでの販売もそ の理由である。
初期のはさみで切りぬく型紙は、アメリカの営業担当者に、「こんな細かい手作業はアメリカ人には出来ない」と評された影響が大きいようだ (AG Industries 川田修氏 談:Junglecity.com 「ぶらぼうな人 Vol.41」より引用)。だとすれば、子供の科学連載の切りぬき型紙が大人気を呼び、現在も続いているのは、日本人ならではの現象なのだろうか。

ホワイトウイングス版二宮式紙飛行機を、胴体の材質と製作法で分類してまとめると以下のようになる。

  • ① 全紙製機(オールペーパータイプ)
    1) 通常の貼りあわせ胴体
    2) 三角胴
  • ② 棒胴機(わりばし飛行機)
  • ③ バルサ板胴(バルサタイプ)
  • ④ スチレン機
    1) 差し込み組み立て式(TOBUTOBUプレーン、シャークジェット等)
    2) 接着組み立て式(発泡スチレン機型紙集 20機種セット)

分類法のまとめ

上記を勘案し、二宮式紙飛行機の総合的分類を以下に試みる(デザイン+材質+工作法)。

  • 第Ⅰ種: 全紙製機
  • ① 競技用機: 上昇・滞空性能を追求した高翼機。
    1) 旋回上昇型: 主翼の形で概ね以下のように分かれる。
      ⅰ) 1段上反角翼 (テーパー翼、楕円翼、前進翼)
      ⅱ) 2段上反角翼
      ⅲ) 翼端上反角翼
       ⅳ) MOSTウイング 1段上反角
       ⅴ) MOSTウイング 2段上反角
    2) 垂直上昇型
  • ② 軽飛行機
  • ③ 自由型機
  • ④ 変形機
  • ⑤ プロフィール機: 実機を模した機体。
  • ⑥ 簡易組み立て全紙製機
    1) 三角胴機
    2) 切紙機
    3) 切折り機
    4) ホチキスペグ
  • 第Ⅱ種: バルサ板胴機
  • ① 競技用機: 上昇・滞空性能を追求した高翼機。
    1) 旋回上昇型: 主翼形の小分類は第Ⅰ種と同じ。
    2) 垂直上昇型:
  • ② 軽飛行機: セスナ型、ビジネスジェット型、(小型)飛行艇など。
  • ③ 自由型機: 飛行艇など
  • ④ プロフィール機: 実機を模した機体。
  • 第Ⅲ種: 棒胴機(わりばし飛行機):ただし若干の変形機を含む。
  • 第Ⅳ種: 防水機
  • ① 接着組み立て式スチレン機 (発泡スチレン機型紙集 20機種セット)
  • ② 差し込み組み立て式 (TOBUTOBUプレーン、シャークジェット等)

※現状では、本分類が最も矛盾が少ないと思われる。バルサ板胴機には、変形機は確認されていない。
(参考:日本紙飛行機協会ホームページ、誠文堂新光社「よく飛ぶ紙飛行機集」、AG社発売のホワイトウイングス)

2012年8月20日